FBSテレビ『きらり☆北九州』、川原教授を取材(3月18日 9:25放映予定)
撮影開始時、静まり返る教室。
緊張気味の学生たち。いつものように川原先生の自信あふれる大きな声。
「さあ今度は皆さんを撮るよ」その声に女子学生は思わず髪に手をあて、服装をととのえた。
川原先生も学生へ向いているカメラの方へおどけながら教壇から降りてきた。思わず漏れる女学生の笑い声。研究室の円卓に川原先生に対して取材スタッフが陣をとる。スタッフの中のチーフとおぼしき人の質問が始まった。カメラ担当も一緒に円卓に座り、カメラを回す。川原先生は、専門用語をできるだけ使わないで、開発したスーパーセルについて質問に分かりやすく答えようと懸命だ。人間の体に占める水の量、タンパク質の量。タンパク質がいかに重要なものかを懇切に説き明かす。説明が進む中で、少し研究の外観がわかってきた記者から、質問が飛び出した。
「タンパク質を作る人の細胞を体の外に取り出してどれくらい生きているのですか。抗体=タンパク質ですか」おっかなびっくりの質問だ。
川原先生はうなずきながら、さらに説明を始めた。
「人間の体の中にある物質で薬ができたらいいはずです。もともと人間がもっているものですから。私たちはその分野の研究をして製品化に向け頑張っているのです。」川原先生は、声の調子を落として、
「糖尿病患者に投与するインスリン、最初はブタから製造していました。ブタのインスリンは人間のインスリンの構造に非常によく似ています。そうすると、医薬品を作るために多くのブタを殺すことになります。動物愛護団体からの苦情、また糖尿病患者もブタを殺して自分が生きているという嫌悪感、これでは将来がないということで、遺伝子組み換えでヒトのインスリンの遺伝子を大腸菌に入れて作らせる技術が開発されたのです。この大腸菌がインスリンタンパク質を生産します。しかし大腸菌で生産されたインスリンはヒトのインスリンと構造は似ていますが、やはり、似て非なる物です。ヒトの細胞は元々ヒトのタンパク質を作っているので、ヒトの細胞を利用してタンパク質を生産するのが理想的なのです。ただ、ヒト細胞は体外に取り出すとせいぜい2週間しか生きていません。そこで注目されるのが、がん細胞なのです。この細胞は体外でも栄養さえ与えていれば永遠に生きています。わたしたちはこのがん細胞に生産したいタンパク質の遺伝子を導入して理想的なタンパク質を生産する研究をしています」と続けた。
記者は、驚きを隠せない面持ちで「ということはスーパーセル=がん細胞ですか」と、質問した。
「そうです。でも怖くはありません。これは感染しません。人のがん細胞は、他人には感染しないのです。手につけても、飲んでも。もしこれが簡単に感染するのであれば、生体肝移植があれほど難しいわけがないじゃないですか。多くの場合、拒絶反応によって移植は困難なのです。がん細胞も同じです。他人のものは感染しません」
川原先生のエンドレスの説明に記者が急に、「わかりました。今話されたことをもう一度話していただけますか」と、話の腰を折った。川原教授もすぐに真意を解したとみえ、「わかりました」と応えた。
それからが本当のインタビューの始まりだった。白衣を着てもらいたいという記者の要望に、川原先生は「最近、白衣が入らなくなりましてね」と、腹部をさすりながらあっさりかわした。
烏 冬青(青は月の部分が円)
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